めんツナ本「めんツナかんかんレシピ25」を作りました

はじめに

これは、出版社無しで、企画から校正まで、ほぼひとりでやった自費出版の記録になります。

2025年2月と12月に、自分で作った本「めんツナかんかんレシピ25」が完成しました。
これは商業出版ではなく(出版社・編集者もいない)、いわゆる同人誌・ファンブックになります。
企画、原稿整理、構成、校正、入稿まで、ほぼ自分でやりました。
※同人誌とは、出版社を介さず、個人や同好グループが制作・頒布する冊子のこと。自費出版の一種です。

2月初版を作成後、12月に重版した際に、いろいろと思い出せなくて困ったこともあったので、ブログとして自分用のメモにもなるように記録を残しておきます。

なぜ本を作ったの?なぜ自費出版?

正直なところ、物理的な本を作りたかった。ただそれだけw

もともと私は、料理本やレシビ本を見るのは大好きで、いろいろ買ってます。ネットではなくあえて物理本を買ってます。レシピというよりは、その料理の写真を本として見るのが好きだから。写真集・フォトブック的な意味合いでも買って見ているという感じです。

あるきっかけで、めんツナかんかんを必ず使ったレシピを紹介するレシピブログを2017年からスタートし、その過程で、ある程度レシピの種類が増えてきた2020年頃には、本屋で並んでいる素敵なレシピ本みたいな本を自分でも作ってみたいなと思うようになりました。
※ちょうどこの2020年初旬、めんツナかんかんを販売している株式会社ふくやさんに訪問させていただく機会があり、そのときの担当者さんに「めんツナかんかんレシピブログをやってるんですが、これ、いつの日か書籍化して配ってもいいですか?」ってダメ元で聞いてみたら、意外にも「いいですよ!」って快諾(たぶん、話半分だったかもw)してくださったこともあり、書籍化できました。感謝。

もちろん、私は自称めんツナかんかんエバンジェリスト、ちょっとこじらせた熱狂的なファンなだけです。当然、出版社さんはつくわけもなく(そもそもコネクションないしw)、そのため自費出版・同人誌・ファンブックという形をとりました。
これは、自分のペースで作りたかった、内容は自分で決めたかった私にとっては、後から考えると良い選択でした。

2023年12月に開催された「忘年会議2023 in 岡山城」のLTで「2024年はレシピブログを書籍化するぞ!」と宣言したのですが、2024年中には間に合わず(忘年会議2024にも参加できず)。。。2025年2月にふくや羽田空港店リニューアルに合わせて作成をしました。
ちなみに、「忘年会議2025」のLTでこのブログの内容を発表し、めんツナかんかんとめんツナレシピ本を配ろうと思い、第二版を大量に作成したのですが、家族がインフルエンザに罹患し残念ながら不参加となってしました。
※なので、めんツナレシピ本の在庫を大量に抱えております。もし欲しい人がいたらDMくださいw

作ろう!って思ったけど。。。

「ブログを書籍化するだけでしょ。原稿もあるし楽勝でしょ。」って思っていたのですが。。。
いざやろうと思ってみたら、何から始めたらいいのか分からず。
そもそもどこにお願いしたら印刷・製本してくれる?どういう形式で中身を作ったら良い?大きさは?費用はどのくらいかかる?などなど、わからないことだらけ。
そんなとき、弊社で技術書典に本を出すことに。
https://techbookfest.org/product/cA3PMcjbumehPUriiECzgt?productVariantID=wzGMbGj0KctCh32Wr2bqRW

この本を作る際に、中身や表紙の作り方、どんな印刷所にお願いしたらいいか、納期はどのくらいか、費用感など知見を貯めることができました。

書籍化でやったこと

印刷所を決める

印刷所は「日光企画」さんにお願いすることにしました。
日光企画さんは、冬コミや技術書典を始め、さまざまな同人誌の印刷・納品を行っている印刷所さん。イベントなら自身のブースまで納品してくれるし、入稿時にも細かくチェックしてくれる、とても良い印刷所さんです。弊社で本を作ったときに、親身になって相談にのってくださったこともあり、ここしかないっ!という感じでした。

印刷形式を決める

いろいろあってよくわからなかったので、日光企画さんにいろいろ相談にのっていただきました。
私の要件としては、「全ページフルカラー」、「写真がキレイに印刷できること」、「小ロットで作成したい」の3点。
この要件では「オンデマンド中トジALLカラーセット」が良いとのことでした。
※写真について、オフセットのほうが良さそうなんですが、小ロット(50冊くらい)で印刷だということ、表紙の用紙を選べばある程度キレイにはなるので、オンデマンドとなりました。

ちなみに、オンデマンドとオフセットの違いは、以下のとおり。

項目オンデマンド印刷オフセット印刷
印刷方式デジタル印刷(版なし)
いわゆるプリンターで印刷している感じ
版を作って印刷
新聞や雑誌みたいに”版”を使って印刷
最低部数1冊〜数百冊〜が現実的
初期費用ほぼなし版代が必要
1冊あたりの単価高め低め(部数が増えるほど安い)
少部数印刷△(割高)
大量印刷
納期早いちょっと長い
色の安定性△(多少ばらつくことあり)◎(安定している)
写真・ベタ印刷
向いている用途自費出版 / 技術書 / 試作商業出版 / 写真集 / 大量配布

用紙規格を決める

用紙については、上質紙・コート紙・NPホワイトがあり、選ぶ必要があります。

項目上質紙コート紙NPホワイト
表面ざらっとしているツルツルやや滑らか
光沢なしありほぼなし
白さ普通明るい白かなり白い
インクの沈みしっかり沈む表面に乗るやや沈む
発色
文字の読みやすさ△(反射あり)
写真の見え方
手触り紙らしい雑誌っぽい本っぽい
指紋・反射出にくい出やすい出にくい

また、紙の厚みとして「◯◯紙110kg」のように紙の種類に”kg”単位で規格があり、数字が大きくなるほど厚みが大きくなります。
※これは「連量(れんりょう)」という紙業界では一般的な単位です。ざっくりいうと「その紙を1,000枚重ねたときの重さ」になります。よって、厚みがある=重みがあるなので、kgの数字が大きいほど、厚みが大きくなります。

本文については、「コート紙110kg」にしました。これは日光企画さんの「オンデマンド中とじALLカラーセット」のデフォルトです。ちなみに弊社で作った技術書はモノクロ印刷だったので「上質紙90kg」にしました。
表紙については、「NPホワイト200kg+PPあり」にしました。「オンデマンド中とじALLカラーセット」のデフォルトでは「コート紙135kg+PPなし」でしたが、表紙っぽく厚みのあるツヤツヤした感じのものがよかったので変更しました。
ちなみに、この「PP」とは「ポリプロピレン加工」のことで、PPありだとフィルム貼り、PPなしだとコーティングなしの紙のみの状態です。
弊社で作った技術書も「NPホワイト200kg+PPあり」にしました。そのとき、とても質がよかったので、このような形にしました。
ただ次に作るときは、ちょっと厚めのコート紙を試してみたいなーと思っています。

ちなみに、本の大きさはA5にしました。A4で大きいサイズにしようとも思ったのですが、大きすぎるのも邪魔だなーと思い、A5にしています。

表紙を作る

表紙は日光企画さんのテンプレートにあわせたものを作る必要がありました。形式はIllustratorの形式になります。
こちらについては知り合いのデザイナーさんにお願いして作ってもらいました(私自身、Illustrator持ってなかったので)
出来上がったものはこちら。

めんツナかんかんレシピ25 表紙

ここでも少し注意が。本の厚み(ページ数)によって大きさが変わります。
ページ数が多くなると「背」が太くなり、その「背」の折れ曲がる位置が変わります。これはテンプレートの中央のメモリで判断します。また、それに応じて両端の裁断位置も変わります。これはテンプレートの両端のメモリで判断します。
※ページ数が多く背に厚みがでると、そこに文字を記載することもできます。

内容を作る

内容については最終的にPDFファイルで入稿となります。
弊社で作った技術書ではReVIEW-Template を使って文章をレイアウトしましたが、今回は文章というよりは写真・レイアウトをしっかり作りたかったので、Canvaを使いました。Canvaは自分で作ったデザインをPDFにしてダウンロードできます。

詳細ページ

このような形で、全ページ作りました。

詳細ページ一覧

ここでも注意が。。。
いわゆる「ノドが詰まっている・ノドがきつい」という状態に、製本された本をみて初めて気が付きました。
「ノド」とは本を開いたとき、綴じ側に近い余白部分のことを言いますが、ここがかなり詰まってしまい、かなり開かないと見えない状態になりました。正直、思っているよりもかなり広めに考えたほうが良いです。
※これは初版を作ったときに気がついてたんですが、二版を作るときにすっかり忘れてました(泣)次はちゃんとしたい。

ノドが詰まっている。。。

初版では誤字脱字がありました。
一応、生成したPDFファイルは生成AIにお願いして誤字脱字チェックをしてもらいました。いくつか指摘も受け、安心してたのですが、、、製本されて手元に届いたタイミングで、ミスを見つけてしまい(泣)。ただ製本されているので、修正もできず、、、物理本の難しさを身をもって体験しました。
ちなみに、AIでチェックできなかった誤字は、写真部分に追記していた英字のレシピタイトルの文字でした。ここは生成AIのチェックがもれてました。二版では修正済みです。

めんツナトマたまなのに、めんツナ焼きしいたけになってる。

現在、約60種類のレシピをブログに掲載しています。この中から25個に絞る必要がありました。
基本的に私がオススメするレシピを選んでいます。ただそれでも選べない場合は、できるだけブログに掲載している写真が良いものを選びました。それでも書籍にするにあたり写真が不十分なものがいくつかあり、それについては撮影し直しをしています。

発注・入稿する

実は、あらかじめ日光企画さんに「Canvaで作ったPDFファイルって書籍にすることできますか?」とサンプルを送って質問をしており、「OK」と返事をいただいていました。
そのため、ある程度はスムーズに発注、入稿することができました。また二版のときは「以前に頼んだもの」ということでラクに発注できました。

発注内容は以下のような内容です。初版も二版も基本的に同じとしました。

項目初版二版
イベント搬入イベントなしイベントなし
イベント搬入先イベントなし・自宅納品イベントなし・自宅納品
書店納品書店納品なし書店納品なし
本のタイトルめんツナかんかんレシピ25めんツナかんかんレシピ25 第二版
セットまたは仕様はオンデマンド平トジALLフルカラーセット無線トジALLフルカラーセット
サイズA5A5
表紙込みページ数2626
冊数4050
トジ方向
トジ種類平トジ(無線綴じ)無線トジ
表紙用紙と加工NPホワイト200kg(+クリアPP)NPホワイト200kg+クリアPP
表紙印刷通常オンデマンドフルカラー印刷通常オンデマンドフルカラー
本文用紙その他のオプションコート110kg(ALLフルカラーセットのみ)コート110kg(フルカラーのみ)
本文印刷通常オンデマンドフルカラー印刷オンデマンドフルカラー
本文始まりページ(ノンブル)1
遊び紙・口絵無し無し

費用は以下のとおりでした。
一部セットの中身が変更になっていたり、ちょっと冊数を増やしたりなどあり、全体的に二版のほうが1冊あたりの料金がお安くなっています。

項目初版二版
セット印刷代27,550円32,280円
表紙印刷代4,360円900円
ご自宅発送代1,000円1,000円
合計32,910円34,180円
1冊あたりの費用822.75円683.6円

納期は10日〜2週間程度でした。

やっぱり、物理本が手元に届いたときは感動ですね。

おわりに

初版は、ふくや羽田空港店のオープンに合わせて制作しました。
第二版は、忘年会議2025に参加しLT登壇で今回の内容を発表、その際にみなさんにお配りするために作成しました。
が、、、忘年会議2025の前々日に家族がインフルエンザに罹患してしまい、参加できず、、、お配りできませんでした。
つまり、、、第二版がたくさん残ってるってことです(笑) もし欲しい方がおられましたら私にDMください!

この記事を書いた人

takeshi.furusato

AWS Samurai 2022
JAWS-UG Okayama
OkayamaWordPressMeetup
JP_Stripes Okayama
SORACOM UG Okayama
TwilioJP-UG Okayama
自称めんツナかんかんエバンジェリスト(https://mtc2.furusato.blog/)
DIGITALJET inc.